「日本文学100年の名作第4巻 木の都」
たくましくも戦争と向き合ってきた日本文学 「日本文学100年の名作第4巻 木の都」 新潮文庫 「木の都 織田作之助」十年ぶりに大阪の町を訪れた「私」。何気なく入ったレコード店の店主の顔は、どこかで見た記憶があった。降り出...
たくましくも戦争と向き合ってきた日本文学 「日本文学100年の名作第4巻 木の都」 新潮文庫 「木の都 織田作之助」十年ぶりに大阪の町を訪れた「私」。何気なく入ったレコード店の店主の顔は、どこかで見た記憶があった。降り出...
釣り―何という贅沢な時間の過ごし方 「百年文庫012 釣」ポプラ社 「白毛 井伏鱒二」この頃白髪の増えた「私」は、無意識のうちに抜き取った白毛を繋ぎ合わせ、渓流釣りの釣糸のようにしている。しかし、「私」には渓流釣りと白毛...
重々しい妖怪伝説から始まった物語は…。 「河童騒動」(井伏鱒二)(「白鳥の歌/貝の音」) 講談社文芸文庫 江戸時代の明和六年、七月から八月にかけて夜ごと南西の空に彗星が現れた。それに呼応するかのように九州から山陰山陽方面...
戦争という過去と向き合う・戦争文学 戦後70年を過ぎ、戦争を体験した世代が少なくなりました。それは戦争の愚かさ、悲惨さを語り伝えることが困難になってきたことを意味します。だからこそ読書が大切となってきます。先人たちが伝え...
まずはこの一作から読め!~明治・大正の短編集 以前も書きました。長編小説には長編小説の魅力がありますが、短編には短編のおもしろさがあります。日本語を噛みしめながら読みたい明治・大正期の短編小説集8冊をセレクトしました。 ...
読み返したとき、じわりと広がる悲しみ 「朽助のいる谷間」(井伏鱒二) (「山椒魚」)新潮文庫 「私」は、幼い頃自分の子守役だった朽助老人の近況を手紙で知る。彼の小さな家や土地が、その地に建造されるダムの水底に沈むことにな...
全然違いました。 「子熊の夜遊び」(井伏鱒二) (「白鳥の歌/貝の音」)講談社文芸文庫 子熊は郷の者五名とともに、 豪族の殉死者として 生き埋めにされるべく 捕らえられる。 酔い潰れて死んだと 思われていた子熊は、 生き...
無類の釣好き井伏の真骨頂と言うべき作品 「白毛」(井伏鱒二) (「百年文庫012 釣」)ポプラ社 この頃白髪の増えた「私」は、 無意識のうちに 抜き取った白毛を繋ぎ合わせ、 渓流釣りの釣糸のようにしている。 しかし、「私...
読みどころは、淡々と綴られた文章と文学的交友 「荻窪風土記」(井伏鱒二)新潮文庫 井伏鱒二は 昭和2年5月から実に67年間、 荻窪に住み続けていました。 井伏の年齢でいうと、 29歳から95歳までです。 本書には、 昭和...
最終場面では明らかに二匹が同等になっている 「山椒魚」(井伏鱒二) (「山椒魚」)新潮文庫 岩屋に蛙を閉じ込めた山椒魚。 お互いにいがみ合う二匹。 翌年も口論を続けていたが、 さらに一年後の夏は、 お互いに黙り込み、 自...